「荘厳ミサ」 -6.14

Last-modified: Thu, 07 Feb 2008 10:47:20 JST (3666d)

 ムジークフェラインの大ホールで、ベートーヴェンの「荘厳ミサ」を聴いた。「Les Arts Florissants」という、初めて耳にしたフランスの団体だが、17、8世紀の音楽を主に手掛けているようで、オケはやはり古楽器を使用している。独唱の4人の他に、女性が20、男性が16の、合わせて36人の合唱。ホルン4、トランペット2、トロンボーン3の金管と、フルート、オーボー、クラリネット各2、ファゴット3という木管。オルガンとティンパニと弦楽器で合計51人のオケ。

 ソリストも合唱と同じ位置(オケの後ろ)にいるのでどうかなと思ったが、ソロも合唱も素晴らしく声が良く通って、見事なバランスだった。去年の11月か、ネヴィル・マリナーの指揮でこの曲を聴いたときは、立ち見席にしゃがんでまさに聴いたわけで、ステージは全く見ていない。今日は正反対にバルコンの1列目で、身長の低さを全く気にする事なく、総てが見て取れた。やはり、良く見える席かどうかで聴いた印象、あるいは感銘度がかなり違う。

 今日は右隣が空席だった。母が今日も来ていると思って聴いた。ヨーロッパのご詠歌を聴いて母がどう感じたかは今になっては聞きただすすべもないが、恐らく満足して天国へ帰ってくれたことと思う。

 キリエで、eleison をエライソンと発音されたのにはかなり抵抗を感じたが、ローマンカトリックがどうあろうと、ラテン語の発音はそれぞれのお国柄で変るのだということ、それで良いとしなければならないのだということが良く判った。

 終わったのが9時前で、まだ夕方といった感じ。S氏が今日も来ていて、インゼルでワインを飲みながら話す。私のヴィーンでの生活のあり方はS氏にとっても理想であるらしく、今日は珍しく彼が聞き役になった。つい、Y氏の話をしてしまった。

 働いただけで人生を終えた人はS氏の周辺にもいるようで、日本人としては有り触れたことなのかも知れないが、少なくとも私は、退職後の1年を、これまでの60年間の人生の中で最も充実した年として過ごせたことを、希有の幸せだと感じている。