シノーポリのヴィーンフィル -6.9

Last-modified: Tue, 20 Jul 2010 16:13:21 JST (3068d)

 コンツェルトハウスの大ホールで、ジュゼッペ・シノーポリ指揮のヴィーンフィルの演奏を聴いた。ヴィーンフィルは今日が最後だが、やはり独特の音だ。今日の席は全体が良く見渡せて、ゆったりした気分で聴くことができた。シェーンベルクの「浄夜」は、ロマン派の名残を感じさせる親しみ易い曲で、ヴィーンフィルの弦の響きを堪能した。

 ただ、キュッヒルのヴァイオリンの音色は、先日の四重奏でも感じたことだし2曲目のツェムリンスキーでも同じ印象を持つのだが、今日のような曲の場合、やや甘すぎると感じる。「ボエーム」の時に感動したように、非常に美しいのだが、まさにロマン派の音といった感じで、曲全体のイメージから浮き上がっている印象を持った。

 シノーポリは注文を付けなかったのか、つけられなかったのか、客演指揮者の限界を感じた。純血主義の、しかも男性ばかりの(現在は女性もいる)ヴィーンフィルだが、ソリストはアメリカとイギリス、指揮者はイタリア人だ。首席指揮者、あるいは常任指揮者を持たぬオケの苦悶を感じるのだが実情はどうなのだろうか。

 ツェムリンスキーの曲は先日のチェコフィルで初めて聞いたのだが、今日も一緒になったS氏の言葉によると、最近になって見直された作曲家なのだそうだ。この曲に関しては感想は複雑で、ヴィーンフィルの音やソリストの声は素晴らしいのだが、時折響く古典派的なハーモニーに対して違和感を持つ。先日のチェコフィルで聞いた同じ作曲家の作品の方が、現代を感じさせるものだったと思う。

 一時的には見直されても、結局は消えて行く作曲家なのではないだろうか。どうひいき目に見ても一流ではない。今日もS氏とワインを飲みながらしばらく話した。彼の方が今日の演奏に対する評価は高いようだ。私の耳も贅沢になったものだと感じた。