ベルリオーズの「レクイエム」 -6.18

Last-modified: Tue, 20 Jul 2010 16:37:15 JST (2890d)

 コンツェルトハウスの大ホールで、ベルリオーズの「レクイエム(Grande Messe des Morts)」いわゆる「ベルレク」を聴いた。ヴェルディの「レクイエム」は略せば「ヴェルレク」だが、紛らわしいのでこの呼び方は使わないが良い。モツレクも品がないから使って欲しくない。

 この曲は物凄い編成だ。ヴィーンで聴いた演奏会の中で、今日が最も演奏者が多い。その当時描かれた有名なベルリオーズの漫画(10フラン札の裏側に使われていた)の様子が頷ける感じだ。4管編成のオケに、ステージ後ろの左右にそれぞれ4本ずつのトランペットとトロンボーン、2階席の左右にもチューバを2本加えた10人ずつが位置している。金管で本隊に加わっているのはホルンだけだが、トランペット、トロンボーンがそれぞれ16人、チューバが4人、ティンパニは6人で15個の楽器を演奏する。

 合唱は二つの団体で約160人、全体で約300人といったところか。ソリストの James Wagner が歌うのはサンクトゥスだけなので、合唱は殆ど立ち詰めだ。それでいて、金管と打楽器だけで50人を超すオケの音量に対抗するのは至難の技だ。さすがにバンダを含めてオケ全体が鳴り響き、コンツェルトハウス全体が地響きに似た音響に包まれた場面では合唱の声が聞き取りにくかったが、実に良く歌う。日本の合唱団なら、少なくとも倍の人数が必要ではないだろうか。

 ヴィーン滞在も後1週間ばかりになって、いろいろ思うことがある。その中で私にとって重要だと思われることの一つは、合唱音楽への『回帰』だろう。合唱をすることによって音楽の素晴らしさを知った私にとって、合唱は音楽の故郷だ。それほど意識して選んだわけではないと思うのだが、結果的にはかなり多くの人声が関わる音楽を聴いた。

 日本の現状に比べれば、ヴィーンでは、独唱あるいは合唱を含む音楽、要するに人声を含む曲が演奏される機会が明らかに多い。洋の東西を問わず、音楽の歴史から見ればそれはむしろ当然のことなのだが、日本では必ずしも当然とは感じられていない。

 モーツァルトが私の音楽の故郷であると同様に、合唱音楽もまた、私にとって、回帰に値する故郷なのだと思う。