自作品目録その1 表紙

Last-modified: Thu, 22 Jul 2010 07:58:33 JST (2832d)

 NMA(新モーツァルト全集)の補巻の一つとして1991年に発行された、「作曲者自身の手で記入された作品目録」<Mozart Eigenhändiges Werkverzeichnis> の写真版の表紙には、

                                    Verzeichnüß
                                 aller meiner Werke
                    vom Monath febrario 1784 bis Monath       1

                 

                               Wolfgang Amadé Mozart

と記入されている。

 1行目は「目録」2行目は「私のすべての作品の」ということだが、3行目の「1784年2月から…」に続く後半の書き方には留意する必要がある。Monath 「月」と『1』との間が広く空けてあるのは月の名前が書き加えられるためであり、最後の『1』は西暦の千台を意味しているのだが、『1』に続く数字をモーツァルト自身はどう意識していたのだろうか。『7』なのか、『8』なのか。

 1756年1月に生まれたモーツァルトがこの目録の記入を始めた1784年2月は28歳になったばかりの時であり、通念としてはまだ十分若い。19世紀まで生きることを想定して1の次に8と書いていても何の不思議もないのである。しかし、モーツァルトは『1』しか書かなかった。このことが、モーツァルトが自分の早逝を予感していた証左だなどと考えるのは穿ち過ぎだろうが、35年の生涯はいかにも短い。

 なお、名前の Amadé は通常 Amadeus と綴られるが、モーツァルト自身は Amadé が好きだったようで署名にもよく使っている。Amadeus はドイツ語風には「アマドイス」と発音されるので、それを避けたのかもしれない。