若者たち -6.11

Last-modified: Wed, 06 Feb 2008 13:55:54 JST (3963d)

 11時からコンツェルトハウスのモーツァルトザールで、ヴィーン・ジュネッセ・オーケストラの演奏を聴いた。2階席の1列目を買っていたのだが、今日は2階は使わないからということで、1階席の券と交換させられた。これは今日が2回目のことか。客席はかなり空席が目立つ。開演時間になって登場してくるオケのメンバーを見ていると、いかにも若者ばかり。友人らしい観客から声が掛かるとステージの上から手を振ったり頭を下げたりする。学習発表会といった雰囲気だ。

 だが、演奏が始まって、プロコフィエフの「古典交響曲」の頭の一発を聴いただけで、これは本物だと思った。溌剌とした緊張感、爽やかな音の流れ、まさに若者の音楽だ。これからのヴィーンの音楽界を背負って行くのだろう若者たちの覇気が、ひしひしと迫ってくる。

 ヴァイオリンがそれぞれ3プルトだから立派なオケで、モーツァルトザールではやや会場が狭いかなと感じるが、その分だけ余計、迫力満点の演奏だ。ヴィーン少年合唱団出身の指揮者 Herbert Böck も実に的確な棒で、楽員との信頼関係が成り立っていることがよく判る。

 R. シュトラウスの「ホルン協奏曲」のソロを吹いたのは25歳の Sebastian Mayr。ステージでのお辞儀の仕方もまだぎこちない感じだが、演奏は凄い。決して力まない演奏だが、朗々とした響きで、第2楽章の表現は繊細。ドヴォルザークの「チェロ協奏曲」のソロは21歳の女性 Julia Schreyvogel。これはもっと凄い。もう一流のソリストの風格が身に付いている。やがては世界的に名の通った演奏家になることだろう。

 オケのメンバーも、音楽院などの学生が多いようだが、それぞれが実力を持った者の集まりであることがよく感じられる。学内での体験だけでなく、こういう場で演奏経験を積み上げて行くわけだ。

 アンコールのとき、赤い服のコンツェルトハウスの係員がソリストに、花束代わりにチョコレートらしい箱を渡した。もう一度出て来て、オケのメンバーの方を向いて、ジュースのパックらしい物を示してニコニコ笑った。観客もそれに対して盛大な拍手。いかにも学習発表会だ。ただ、断然質が違う。実に気分の良い音楽会だった。

 3月にコンツェルトハウスで行われた「Hörgänge」のシリーズはかなりの赤字だったに違いないが、オーストリア出身の若い作曲家の作品を紹介するのが趣旨だったわけで、地元の音楽家を育成する機関として、このホールが積極的な役割を果たしていることがよく判る。このホールでは、「子供と同伴者のための音楽会」というタイトルの演奏会もよく行われている。ホール独自の企画で、聴衆を育て、演奏家を育て、作曲家を育てているわけだ。

 貸しホールとしての意義も勿論だろうが、ムジークフェラインとは違う意味で、ヴィーンの音楽界にとって重要な役割を果たしているホールだと感じる。予算的な問題はあるだろうが、岡山でもこのような機能を備えたホールがあって欲しいと思う。